アメリカの最新心理学、人格適応論とは?

それでは、アンケートを構築する際の背景となっている一つの理論「人格適応論について紹介していきましょう。
人格適応論とは、人の性格を見極め、それぞれの性格に合わせて信頼関係を構築する為の心理学です。

人格適応論は、精神科医達によって開発され、1983年に、「Personality Adaptations(人格適応論)」でパーソナリティ理論・コミュニケーション理論として発表された概念です。
人格適応論では、精神科の患者の行動観察からその行動を6つのタイプに分類しました。その適応タイプを精神疾患の名称を使い、6つに名付けました。

  • ヒストリオニック(演技型)→興奮、過剰反応、感情不安
  • 強迫観念→完全主義、抑圧的
  • パラノイド→誇大化、嫉妬、猜疑心、妬み、警戒心
  • スキゾイド→引きこもり、白日夢
  • 受動攻撃→憤慨、過剰依存、妨害、自己中心
  • 反社会→社会規範との葛藤、自分本位、無責任、操作的
そのうえで「精神科の患者だけでなく、人は誰しもこれら6つの適応タイプの1つ、或いはそれ以上の適応タイプを自身の行動様式として選択している」と考えました。そして今では、この6タイプは「パーソナリティ障害などの精神疾患の人に当てはまるのではなく、普通の人に当てはまる適応スタイル」と考えられています。

「人格適応論」においては、乳児期(生後18か月目まで)に選択する「生き延びるための適応タイプ(革命家、哲学者、任侠のいずれか)」と幼児期(6歳くらいまで)に選択する「行動上の適応タイプ(コンシェルジュ、発明家、官僚のいずれか)」の組み合わせにより、その人の基本的な組み合わせが決まるとされます。この組み合わせがいわゆるその人の性格的特徴のベースをなすものです。
****UPシステムでは、平常時にエネルギーが多くタイプ(マイキャラ)とストレス時にエネルギーが多いタイプ(ストレスキャラ)を明らかにし、その人への効果的なマネジメント、モチベーション、教育の在り方をレポートします。*****

この分類をもとに相手のタイプを態度や表情などからく見極め、より早く深い信頼関係を築き、問題解決を支援するコミュニケーション手段として、人格適応論は発展してきました。
人格適応論では、下記の領域で優れた効果を発揮しています。
1. それぞれのタイプを素早く発見する方法を整理し(診断法への応用)
2. それぞれのタイプと早く深い信頼関係を構築する方法を開発。 (タイプ別コミュニケーション法への応用)
3. それぞれのタイプがより成長するための課題と、支援の在り方(タイプ別モチベーション法・教育法への応用)


この理論を、円滑なコミュニケーションやモチベーション、教育など、一般のビジネスにも応用し、
1  メンタルヘルス理論
2  精神分析理論
3  モチベーション論、
4  リーダーシップ論

などを組み合わせにより、人事管理向けに整理し実践的な活用を目指したものがUPシステムです。

6つの適応タイプを整理すると

人は以下の6つの適応タイプを全て持っています。ただし、強弱が存在し、それが性格として現れるのです。
最も日常生活に顔を出すマイキャラと、ストレス時に顔を出すストレスキャラを各レポートの右上に表示しています。


それぞれの適応タイプの特色を以下にまとめています。

コンシェルジュ型

人に喜ばれることを第一義に考え行動し、「人から喜ばれる」ことを生きがいにしていくタイプ。
偉人でいうと、マザー・テレサ。
アニメキャラで言えば、タッチの南ちゃんをイメージして貰えれば分かりやすいと思います。

(代表的性格特徴)
周囲の人の気持ちに敏感で、人を喜ばせようとします。
〈ポジティブな側面〉
優しい、思いやりがある、親密な関わりを持つ
〈代表的ネガティブな特徴〉
感情的になる(泣く、責める)、不過剰な気遣いをする
(形成過程)
コンシェルジュ型は、子どもにかわいらしさや優しさを求める養育環境で発達します。

発明家型

自分が好きか?・嫌いか?を第一義に考え行動し、「好きなことをやれる楽しい人生を生きる」ことを目指していくタイプ。
偉人でいうと、ピカソ、岡本太郎など。
アニメキャラで言えば、亀有公園前派出所の両津勘吉。サザエさんをイメージして頂ければ分かりやすいと思います。

代表的性格特徴)
好きか嫌いかのどちらかで反応します。
〈代表的ポジティブな側面〉
楽しいことなら懸命に行う、楽しい・笑う、人付き合いが上手
〈代表的ネガティブな特徴〉
やるべきことをやらない、不満を言う、人のせいにする
(形成過程) 
発明家型は、「ああしろ、こうしろ」と支配的・指示的に子どもをコントロールしようとする養育環境で発達します。

革命家型


退屈を嫌い、刺激のあることを第一義に考え行動し、「刺激と興奮のある人生、野心が達成できるような人生を生きる」ことを目指していくタイプ
偉人でいうと、織田信長。
アニメキャラで言えば、ルパン三世の峰 不二子をイメージして頂ければ分かりやすいと思います。

(代表的性格特徴)
自分に利益になると思うと懸命に頑張ってくれる。チャレンジ精神が旺盛。
〈代表的ポジティブな側面〉
行動力がある、活動的、リーダーシップが強い
〈代表的ネガティブな特徴〉
優位に立とうとする、バカにする、目先だけを見た言動
(形成過程)
革命家型は、子どもが何かを望む前に、親が先回りして、子どもが望むと親が想像したものを与えるという養育環境で発達します。

哲学者型

自分一人の時間や空間を大切にし、安定して過ごすことを第一義に考え行動し、「野心や野望を抱かずに安定した人生を生きる」ことを目指していくタイプ。
偉人で言うと、石川啄木。
アニメキャラで言えば、ルパン三世の石川五右衛門をイメージして頂ければ分かりやすいと思います。

(代表的性格特徴)
自分の心に引きこもり、空想や想像することが多い。一人きりを好み、他者に優しく思いやりがありますが、自分の欲求は後回しにしてしまいます。
〈代表的ポジティブな側面〉
黙々と働く、物静か、控え目
〈代表的ネガティブな特徴〉
コミュニケーション回避、黙る、あきらめる
(形成過程)
哲学者型は、養育者(親)が子どものことに心を砕く余裕が無かったために、親が当てにならなかったという養育環境で発達します

官僚型

論理性、事実に基づく判断、決めたとおりにしっかりやる事を第一義に考え行動し、「合理的で計画通りの人生を生きる」ことを目指していくタイプ。
偉人で言うと、石田三成。
アニメキャラで言えば、スタートレックのMR スポックをイメージして頂ければ分かりやすいと思います。

(代表的性格特徴)
あらゆる出来事に責任を持とうとします。相手から認められるために完全にやろうと努力します。
〈代表的ポジティブな側面〉
責任感、良心的、明晰な考え
〈代表的ネガティブな特徴〉
こだわる、言い訳がましい、他者に批判的
(形成過程) 
官僚型は、子どもの存在そのものよりも、何かを出来たことを認められ、物事の達成を強調される養育環境で発達します。

任侠型

自分の信念、理念、こだわりを第一義に考え行動し、「信念にこだわった生き方」を目指していくタイプ
偉人で言うと、インドのガンジー。
アニメキャラで言えば、宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長をイメージして頂ければ分かりやすいと思います。

(代表的性格特徴)
自分の考えに固執し保守的で、自己管理を好み、敏感で明瞭な考えを持っています。
〈代表的ポジティブな側面〉
明晰な考え、緻密さ、注意深い
〈代表的ネガティブな特徴〉
誇張する、用心し過ぎ行動しない、疑い深い
(形成過程) 
任侠型は、同じようにふるまったとしても、ある時は受容的、ある時は拒否的であったという一貫性のない養育環境で発達します。




適応タイプ別のコミニケーション法

6つの適応タイプは大きく欲求や認識パターンが異なります。そのため、適応タイプ別に求めているコミニケーション、信頼関係を深めるためのステップ等も変わってきます。
相手の適応タイプに合わせたコミニケーションをしていくことが、円滑な人間関係、スムーズな仕事をしていく上で大切になってくるのです。
分かりやすく言えば、適応タイプ別に「気持ちのよいコミニケーション法」が異なってくるのです。



性格を互いに理解し合い、それに合わせたコミニケーションを図ろう

仲間といえども、性格は異なるはずです。ですから、仲間同士、UPシステムをもとにそれぞれが「気持ちよいと感じるコミニケーション法」を共有しあいましょう。それぞれが相手の望むコミニケーションを理解し、互いに少しだけ気を遣いながら付き合っていく。そうすれば、今以上に好ましく、高い生産性の関係を築くことができるハズです。
人格適応論では、それぞれのタイプ別に「どんなコミニケーション法を好むのか?」「どう信頼関係を構築していけばよいのか?」が体系化されています。UPシステムは、人格適応論を参考に、ビジネスの現場で「どう接していけば、信頼関係を高め、よりよい仕事を進めていくことができるか?」を個性活用マニュアルとしてまとめています。

例えば注意の仕方一つも「どんな適応タイプの性格か?」で、効果的か?逆に反発されるかが異なります。
よく、注意の仕方の原則の一つに「注意する際は、長々と注意するのではなく、ポイントのみを注意しろ」という事があります。
この原則は、全ての人に使えるかというとそうではありません。
「早期に結果を求めるせっかちな人」(人格適応論では革命家型)には通じる原則ですが、
相手が「じっくり気持ちを理解して欲しいタイプ」(人格適応論ではコンシェルジュ型)だったら逆効果(下図)。コンシェルジュ型の人は、「じっくりと自分がその行動を起こした気持ち、言い分をしっかり聞いて貰いてもらった後、注意して欲しい」からです。






人は自分がされて嬉しいやり方で、他人に接します。自分と同じような性格のある人に対して気を遣わなくても良い人間関係が築けるのはその為です。同じタイプの性格の人は、あなたの好意を素直に受けとってくれるからです。
しかし、あなたと全く異なる性格の人は、あなたが「○○されたら嬉しい」と感じる行動を相手にしてあげても、喜んでくれません。せっかくの好意を嫌悪感を持って受けとられるという事もあるのです。
肝心なのは、「相手の性格に合わせてやり方を変える」ということです。
その為にも、チームの仲間と「それぞれの性格と、好ましく思うやり方」を共有し、それぞれが気を遣うという事が大切になってくるのです。